【ミンダナオ島テロ】フィリピン現地から最新情報をお伝えします。

5月下旬からフィリピン南部ミンダナオ島にあるマラウィ市で、「マウテグループ」をはじめとするIS過激派組織とフィリピン軍との戦闘が続いています。ミンダナオ島テロに関する最新情報を現地からお伝えします。

関連記事

フィリピンのテロは治安を悪化させているのか?2017年最新情報
現在、テロのせいでフィリピンの治安は悪化しているのでしょうか?フィリピン留学検討者、現地に行く予定がある人たちのために「テロ...

ミンダナオ島でISとフィリピン軍が衝突

過激派組織「IS(イスラム国)」に忠誠を誓う武装勢力「マウテ」などが2017年5月下旬に、フィリピン南部のミンダナオ島マラウィ市でフィリピン軍と戦闘を開始しました。

アブドラ・マウテとオマーク・マウテ兄弟が率いる「マウテグループ」は、市民を盾に戦闘を続けたり、外国人戦闘員を起用してフィリピン軍との戦闘を長期化させました。

さらに、イスラム過激派思想に傾倒する国内の若者を感化させたり、別の過激派グループ「アブサヤフ」との結合があったりと…

まずは、あれから3カ月が経った「マラウィ危機」の状況や出来事を時系列にまとめます。

ミンダナオ島テロの時系列

2017年5月23日:IS過激派組織と軍が衝突

IS過激派組織「アブヤサフ」の最高幹部イスニロン・ハピロン容疑者をフィリピン軍と警察が潜伏先のマラウイ市で拘束しようとした際、マウテグループが銃撃戦を展開して始まった。同日にミンダナオ島で戒厳令が敷かれた。

(CNN) 国営フィリピン通信(PNA)によると、同国南部ミンダナオ島で23日、政府軍とイスラム過激派「マウテグループ」が衝突し、ドゥテルテ大統領が同島全土に戒厳令を出した。

ドゥテルテ大統領はモスクワを訪れていたが、衝突を受けて急きょ帰国を決めた。

戒厳令の期間は60日。大統領報道官は「無法な暴力と反乱を抑え、市民の安全を守ることが目的」と述べた。

引用:フィリピン南部ミンダナオ島で衝突、大統領が戒厳令(CNN)

5月24日:ドゥテルテ大統領が戒厳令1年続く可能性に言及

大統領は24日、この戒厳令は1年続くこともあり得ると述べ、フェルナンド・マルコス(Ferdinand Marcos)独裁政権が出した戒厳令と似たものになる可能性を警告した。

引用:フィリピン大統領、南部ミンダナオに戒厳令 1年続く可能性に言及(AFP BB News)

6月10日:マウテ兄弟死亡説

マラウィ市を占拠するマウテグループの指導者であるとマウテ兄弟が戦闘中に死亡した可能性が示唆された。しかし、この時点では事実確認中。兄弟は中東で働いた際にイスラム過激思想の影響を受け、故郷ミンダナオ島でイスラム国家の建国を目論んでいた。この時の被害規模は、過激派138名、軍隊58名、市民21名、計217人の死者数。

参考:フィリピンの過激派創設の兄弟死亡か、政府軍との戦闘で(産経ニュース)

6月18日:死者総数が300人を超える、激戦

マラウィ市ではこれまでの1ヶ月の戦闘で過激派戦闘員225名、軍隊59名、民間人26名の計310人が死亡したとのこと。長引く衝突のためマラウィ市と同市周辺では約30万人以上が避難を強いられた。さらに苦戦が続く現場では、シリアやインドネシア、マレーシアなどからイスラム国の戦闘員が確認され、過激派組織が市民を盾に徹底抗戦をしている。

参考:動画:フィリピン南部マラウィ、軍と過激派が激戦 死者300人以上に(AFP BB News)

6月20日:残忍なマウテ兄弟生存、グループを指揮

先月、オマークハヤム・マウテ(Omarkhayam Maute)とアブドゥラ・マウテ(Abdullah Maute)の兄弟は、かつてムスリムとして20年間教育を受けていた、母校であるキリスト系ダンサラン・カレッジを襲撃した。

その際に、地元の若者を多数含む数百人がマウテ兄弟に感化され参加した。また、兄弟は現在もマラウィ市内に潜伏し、トンネルや防空壕といった現地での知識を生かしながら軍への抵抗を続けている。軍によるとこれまでの戦闘で双方の兵士と民間人合わせて350人近くが死亡のほか数百人が行方不明となっている。

参考:過激思想に染まった兄弟、故郷のミンダナオ島襲撃を指揮(AFP BB NEWS)

参考:フィリピン軍が国内IS勢力へ攻撃開始、週内の戦闘終結目指す(ロイター)


8月24日:異常気象と貧困、避難民100万人 

9月4日:フィリピン軍がマウテ兄弟の死亡を確認

9月4日:戦闘での総死者が800人超える

ミンダナオ島テロの最新情報

PHOTO BY JEOFFREY MAITEM / INQUIRER MINDANAO

ミンダナオ島のマラウィ市での戦闘が始まってから約3カ月が経った今、AFPの最新情報(9月4日付け)によると以下のような被害状況となっています。*確認された範囲内ですので、行方不明者などは含まれていません。

過激派:639名の死者

軍隊:145名の死者

民間:45名の死者

計:829人の死者数

8月24日、AFP BB NEWSは長引く戦闘に加え予期せぬ異常気象が、ミンダナオ島での状況を危機に追いやっていると報道しています。さらに、ミンダナオ島では約100万人が自宅から避難を余儀なくされており、必需品も足りていない状態にあるそうです。

9月5日、まにら新聞の公式Facebookページで「マウテ兄弟死亡:国軍は4日、マウテグループを率いるマウテ兄弟の死亡を確認したと発表」という内容が投稿されました。

マウテ兄弟の弟である「オマーク・マウテ」の死亡説は以前から囁かれていましたが、兄弟の両方とも死亡が確認されたようです。

ISに忠誠を誓うマウテグループの設立者・指導者を失った状況下で、危機的事態の収束へと向かうのでしょうか。そこが一番気になることです。


当初は「マウテグループ」などの過激派組織が、ISの外交人戦闘員の流入や市民を盾にすることによって、フィリピン軍からの大きな攻撃を上手くかわしながら徹底的に反撃を行っていました。

しかし、事態の深刻化が世界でも顕著となり、現在は各国からテロ撲滅のためにフィリピン政府は支援を受けています。直近ではマラウィ再建へ向けて、アメリカが7億3000万ペソ(日本円で約15億円)の資金提供を表明。

AFP(フィリピン軍)の長官を務めるEduardo Año氏は、来月の10月26日に自身の定年退職を迎えるのに合わせて「来月にマラウィでの戦闘を終結できればと思っている。」とコメント。

また、同氏は「今後は二度とマラウィ危機のようなことがフィリピンの他の地域では起こらないようにする。」とも最後に述べました。

参考:AFP Chief sees end of Marawi conflict before he retires next month

国際政治学者である六辻氏は「つまり、他の地域にも増して、ISの「落ち武者」が集まってくる土地には、特有の条件があるといえます。シリアやイラクを追われたISが拡散するなか、その「落ち武者」が集まりやすい土地の条件を、ミンダナオ島の例から考えます」

こちらの記事で、IS戦闘員が集まりやすい、つまりテロが起こりやすい特性や地域性について示唆しています。

今後、フィリピン政府及び軍は「マラウィ危機」から一刻も早く脱出すると同時に、マラウィ市以外の地域でもテロ戦闘員に対する監視や取り締まりに注意を払わなければなりません。「ミンダナオ島テロ」「マラウィ危機」に関する新しい情報が入り次第、更新していきます。

外務省からの渡航情報(警戒レベル)

更新日:2017-09-09

こちらの図は外務省により公開されているミンダナオ島の渡航情報(警戒レベル)になります。ミンダナオ島地図の上の真ん中あたりにあるのが、今まさに戦闘が行われているマラウィ市です。

ちなみに警戒レベルには4つありその定義は以下のようになります。


レベル1:十分注意してください

その国・地域への渡航、滞在に当たって危険を避けていただくため特別な注意が必要です。

レベル2:不要不急の渡航は止めてください

その国・地域への不要不急の渡航は止めてください。渡航する場合には特別な注意を払うとともに、十分な安全対策をとってください。

レベル3:渡航は止めてください(渡航中止勧告)

その国・地域への渡航はどのような目的であれ止めてください。場合によっては、現地に滞在している日本人の方々に対して退避の可能性や準備を促すメッセージを含むことがあります。

レベル4:退避してください 渡航はやめてください(退避勧告)

その国・地域に滞在している方は、滞在地から安全な国・地域へ退避してください。この状況では、当然のことながら、どのような目的であれ渡航はやめてください。

参考:MOFA 外務省 海外安全ホームページ


フィリピン・ミンダナオ島に行く予定のある方は、上記の渡航情報・警戒レベルをタイムリーに確認してください。外務省のページで更新があれば、当記事でも随時アップしていきたいと思います。

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする

ブログ管理人:りょーた

ブログ管理人:リョウタ

株式会社ツーベイスの代表取締役として、サイト売買・レベニューシェア案件のビジネスマッチングサービス「KIMARU」を運営中。

大学在学中に作ったサイトを売却して、その資金で起業した経験をもとに、当サイトでは副業や起業に関する情報を発信していきます。

経歴:高校生の時にした2ヶ月間のフィリピン留学でTOEIC900ゲット→大学在学中に年商500万円のサイトを作る→新卒1年目は海外の日系ベンチャーで修行→運営していたサイトを売却して独立起業